【写真】バザーリアが暮らした館

 

【バザーリアが暮らした館】

イタリアの精神医療改革を主導したフランコ・バザーリアは、1924年ヴェネツィアに生まれた。眩いばかりに美しいこの町は、現在でも世界中の人々を魅了し続けている。 この町にある現在のモチェニーゴ博物館の最上階にバザーリアが暮らした家があった。有名なリアルト橋までも歩いて5分ほどという好立地で、屋上にあるテラスからは光り輝く大運河を眺めることができた。

寡黙で気難しい性格だったというバザーリア少年は、大きくなるにつれて、聡明で話好きの青年へと成長し、大学は名門パドヴァ大学で医学を修めた。それ以降は、ゴリツィア、トリエステ、ローマといったイタリアの各地で仕事をし、また世界中を飛びまわり、56歳の若さで脳腫瘍に倒れるまでの短い生涯を精神病院の廃絶に捧げた。

イタリアの精神医療改革が、医師や看護師といった医療関係者、患者やその家族はもちろんのこと、改革が行われた町で暮らす人々や多くの著名な音楽家、作家、アーティストを巻き込んだ社会運動であったという点は、忘れてはならない。そして、バザーリアを中心として、世界中に広がっていった人的なネットワークの原点はここヴェネツィアにある。

狭い島のなかでの生活ゆえ、路地を歩けば友人や知人に出会う。いや、この島に暮らすあらゆる世代の人々、あらゆる職業の人々がみな知人、友人であるともいえるだろう。こうした特殊な環境が、バザーリアの人間関係づくりにも反映されていたはずである。バザーリアの多くの著作の共著者でもあり、のちに上院議員にもなった妻のフランカ・オンガロも同じくヴェネツィアの出身であり、幼い頃からの仲間の一人だった。

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(2017年1月6日 小山寿美子撮影)