日本で本格的なイタリア郷土料理が食べられるなんて夢のようでした。昨夜、東京の新小岩にある「一陽堂オレンジカフェ」にて、ボローニャからイタリア人とスペイン人のゲストを招いてのショートフィルム上映会(精神科病院の閉鎖により退院した人のドキュメンタリー)&イタリア式宴会がありました。
食事はボローニャ名物ハムのモルタデッラから始まり、ラザニア、有機ローズマリーとポテトのオーブン焼き、ボローニャ式の丸パン、バルサミコとオリーブオイルにちょんとつけて食べるみずみずしい野菜ステック、手作りパスタのボロネーゼと四種チーズのニョッキまで堪能しました。さらにグラスの空く隙がないほど次々にいろいろな種類の白赤ワイン(&グラッパ)を注いでくださる気前のよさ。
主催の「東京ソテリア」さんによると、今回は精神障害をもった人びとの就労支援プロジェクトで、ボローニャの協同組合(日本の生協コープと就労支援事業所を混ぜたようなもの)に当事者が単身で修行し、そこで本場ボローニャ料理の調理方法を習得し、そのノウハウと経験を日本に根付かせていく第一歩とのこと。イタリアからは、ボローニャのEtabeta協同組合の代表でアーティストのヨアンさんと奥さま、その活動を支援しているボローニャ精神保健局の前トップのイヴォンエさんと旦那さんがゲストで来られていました。
たしかにボローニャの協同組合は世界的に有名で、日本からもほぼ毎年視察ツアーが組まれていますが、たいていは短期間の「視察」で終わり。しかし「単身住み込み修行」するなんてどうしてだろうと尋ねると、「そうしないと協同組合はわからないですね」と東京ソテリア代表の野口さんはさらっと言ったのが印象的でした。今回のような精神障害者の海外就労支援は、おそらく日本初の試みで、イタリアの方にきいても「私たちも初めて」とのこと。
イタリアのゲストの方々の話は後日書くとして、とにかくお食事とワインが美味でした。ぜひ「一陽堂オレンジカフェ」さんには、常時メニューであのボロネーゼとラザニアを置いてほしいです!
帰りの電車でふと思いましたが、ふつうレストランでおいしい食事を食べた後に、店の人に「シェフは精神障害者ですか? 健常者ですか?」なんて、だれも聞きませんよね。障害のあるなしというより、「おいしくて体に良いものを作りたい、食べたい」が一番重要だよなと、文字通りお腹から納得しました。当日は大手新聞メディアの記者の方も来ていたので、どのような記事になるか楽しみです。