『ジェノヴァの場合-廃墟となったマニコミオ』
かつての精神病院は、現在はどうなっているのだろうか。トリエステでは、かつてのマニコミオはフランコ・バザーリアによって再編され、文化的な公園へと姿を変えた。しかし、こうしたトリエステのような例だけが全てではない。マニコミオを捨てた1978年の180号法から40年が経過した今でも、ジェノヴァには廃墟となって捨てられたままの精神病院が数多くある。
その幽霊屋敷となったマニコミオに、私たちは潜入した。この元精神病院は、いまだに将来の見通しがたっていない、イタリアに数多くの残されている病院の象徴である。このジェノヴァの元精神病院は、その中の一つである。
病院の一部には地域保健所と社会団体が入っているが、それ以外は使われていない。2012年には、マニコミオの記憶を保存しようという活発な民間の運動があったが、その運動は州が進めていた元精神病院の売却計画を阻んでいた。その計画は、元精神病院を宿泊施設に造りかえようとするものだったが、現在ではどちらの計画も頓挫してしまっている。
幾つもの部屋から部屋へ、そして隔離部屋へと私たちは歩みを進めていく。そして、最も劣悪な条件のなかにいた女性たち。1978年以降も長い間、様々な問題や恐怖が止むことはなかった。ここでは、マニコミオを閉鎖するには、さらに20年の時間を要することだろう。